こんにちは。けたろうです🚃
「京阪、また減便するらしいよ」――そんな声を、2025年からこの1年あまりで何度も聞きました。2025年3月、2025年10月、そして2026年8月。京阪電鉄は1年と少しの間に、なんと3回もダイヤを組み替えています。
でも、ここで断言します。これは「ただの減便ラッシュ」ではありません。運転士から輸送指令員、そして今はダイヤ作成の部署にいる私の目には、京阪のはっきりとした戦略の組み替えとして映っています。
この記事では、公式プレスリリースの確定情報だけを使って3回の改正を整理し、「なぜ京阪はダイヤを組み替え続けるのか」を鉄道員目線で読み解いていきます。
✍️ この記事を書いた人
けたろう|鉄道会社 総合職
運転士 → 輸送指令員 → ダイヤ作成部署(現職)
鉄道現場のリアルや趣味の資産運用の記事を分かりやすく書いていきます!
京阪電鉄、2025年から続くダイヤ変更の全体像
まずは全体像から。京阪電鉄はこの1年あまりで、次の3回のダイヤ改正を実施・予告しています。
- 改正①:2025年3月22日実施
- 改正②:2025年10月26日実施
- 改正③:2026年8月22日実施
ニュースの見出しだけを追うと「昼間の減便」「準急が減る」と、削減ばかりが目立ちます。しかし中身を1本ずつ並べると、見えてくるのは別の絵です。正確に言えば、これは「本数の単純削減」ではなく、「短編成化+優等列車の役割の再配分+着席サービスの拡充」なのです。
ダイヤ作成の現場にいると、1年で3回も改正を重ねるのが「どれだけ大変か」が痛いほど分かります。普通なら数年に一度の大仕事を、京阪はあえて短いスパンで刻んでいる。ここに京阪の意図が隠れていると私はみています。
改正①(2025年3月)──快速急行が昼間から消え、普通が4両になった
最初の改正は2025年3月。昼間(10〜14時台)の運転パターンを、それまでの15分間隔から約12分間隔へ変更しました。1時間あたりの片道運転本数は次のように変わっています。
| 列車種別 | 改正前 | 改正後 |
|---|---|---|
| 特急(淀屋橋-出町柳) | 4本 | 5本 |
| 快速急行(淀屋橋-出町柳) | 2本 | 0本(昼間から消滅) |
| 準急(淀屋橋-出町柳) | 4本 | 5本 |
| 普通(中之島-枚方市) | 2本 | 0本 |
| 普通(中之島-萱島) | 2本 | 5本 |
| 普通(枚方市-私市) | 4本 | 5本 |
| 普通(中書島-宇治) | 4本 | 5本 |
「快速急行が消えた」という部分だけが一人歩きしがちですが、表をよく見てください。特急は4→5本、準急も4→5本と、むしろ増えています。消えたのはあくまで「昼間の快速急行」だけで、朝夕の快速急行は存続しています。
もう一つの大きな変化が、淀屋橋・中之島〜萱島間の「普通」を4両編成主体に変えたこと。長い編成を短くした、いわゆる短編成化です。さらに、大阪・関西万博の開催期間(2025年4月13日〜10月13日)には、中之島発着の臨時「特急」「快速急行」も設定されました。
運転士時代の感覚で言うと、編成の両数が変わるのは想像以上に大ごとです。停止位置目標も、ホームの乗車位置も、車庫での入換も全部連動して変わります。「ただ短くしただけ」では決してないんですよ。
改正②(2025年10月)──プレミアムカー2両化と本線初のワンマン運転
2025年10月の改正②は、サービスと運営体制の両面で大きな一歩でした。ポイントは2つです。
① プレミアムカーが「1両」から「2両」へ
3000系8両編成のプレミアムカーが、これまでの「6号車のみ」から「5・6号車の2両」に拡大されました。これにより昼間時間帯・片道1時間あたりのプレミアムカー座席提供数は、約200席から280席へ増えています。昼間の「特急」5本のうち、概ね2本が3000系(プレミアムカー2両)での運転です。なお昼間の運転間隔は、2025年3月と同じく約12分間隔を維持しています。
📄 京阪電鉄 公式プレスリリース(2025年8月18日発表)より
「ご好評をいただいている」「これまでは満席でご予約をお取りいただけない便も多くありました」
② 京阪本線・中之島線で「初」のワンマン運転
この改正で、ワンマン運転が「淀屋橋駅・中之島駅〜萱島駅間」に拡大されました。対象は4両編成の区間急行・普通で、萱島から京都方面は引き続き車掌が乗務します。これは京阪本線・中之島線では初めてのワンマン運転です(これまでのワンマン化は京津線2002年、石山坂本線2003年、交野線2007年、宇治線2013年)。
安全設備も手厚く用意されました。車側カメラ、ホーム検知装置、戸挟み検知装置、車内防犯カメラ、運転士異常時列車停止装置、ホーム異常通報装置など。これらをひと通り揃えてからの実施です。
📄 京阪電鉄 公式プレスリリース(2025年8月18日発表)より
「就労人口の減少に伴い、将来、専門人材の確保が難しくなると見込まれる中においても、鉄道事業を安定的・継続的に運営し、公共交通機関としての社会的責任を果たしてまいります」
この一文は重要です。ワンマン化の理由として、京阪自身が「就労人口の減少」=人材確保難を公式に明言しているのです。これは後半の考察の大きな手がかりになります。
改正③(2026年8月)──快速急行が「枚方市まで」で復活、準急は半減
そして直近、2026年6月26日に発表されたのが改正③(実施は2026年8月)です。昼間10〜15時台の運転間隔は次のように変わります。
| 列車種別 | 現行 | 変更後 |
|---|---|---|
| 特急(淀屋橋-出町柳) | 12分 | 12分(毎時5本を維持) |
| 快速急行(淀屋橋-枚方市) | ― | 24分(新設=復活、毎時約2〜3本) |
| 準急(淀屋橋-出町柳) | 12分 | 24分(毎時約2〜3本に半減) |
| 普通(中之島-出町柳) | ― | 24分(新設、毎時約2〜3本) |
| 普通(中之島-萱島) | 12分 | 24分(毎時約2〜3本) |
| 普通(枚方市-私市) | 12分 | 12分(変更なし) |
| 普通(中書島-宇治) | 12分 | 12分(変更なし) |
注目は、昼間から消えていた快速急行が「淀屋橋〜枚方市」という短い区間で復活したこと。その代わり、改正①で増えた準急は24分間隔(毎時約2〜3本)へと半減します。さらに、4両編成「普通」の運転区間が「中之島・淀屋橋〜萱島」から「中之島・淀屋橋〜出町柳」へ拡大。これまで萱島止まりだった4両普通が出町柳まで直通するので、萱島での乗り換えが解消されます。
平日の夕方以降も動きがあります。19時台・20時台に淀屋橋発出町柳行「ライナー」を各1本増発し、平日17〜20時台のライナーは計7本に。なおライナー増発に伴い「特急」2本を8000系特急車から通勤車8両編成に変更します。初発・最終も微調整され、たとえば三条5時7分発の普通出町柳行は5時12分発へ5分繰り下げ、出町柳23時15分発の快速急行淀屋橋行は23時10分発へ約5分繰り上げ。これに伴い出町柳23時19分発の「急行」寝屋川市行が新設されます。
快速急行の「枚方市まで復活」、ここがミソだと私はみています。フルに出町柳まで走らせるのではなく、需要の大きい大阪側だけ速達性を確保する。一方で4両普通を出町柳まで通して乗り換えの不便を消す。引き算と足し算を同時にやっているわけです。
結局、京阪のダイヤはどう変わったのか【本数比較で総整理】
3回の改正で昼間(片道・1時間あたり)の姿がどう変わったか、確定情報の数字でまとめます。改正①は10〜14時台、改正③は10〜15時台が公式の対象帯です。
| 列車種別 | 改正①前 | 改正①後 (2025年3月) | 改正③後 (2026年8月) |
|---|---|---|---|
| 特急(淀屋橋-出町柳) | 4本 | 5本 | 5本(12分間隔を維持) |
| 快速急行 | 2本 (淀屋橋-出町柳) | 0本 | 約2〜3本(24分間隔) ※淀屋橋-枚方市で復活 |
| 準急(淀屋橋-出町柳) | 4本 | 5本 | 約2〜3本(24分間隔) |
| 普通(中之島-萱島) | 2本 | 5本 | 約2〜3本(24分間隔) |
| 普通(中之島-出町柳) | ― | ― | 約2〜3本(24分間隔・新設直通) |
こうして並べると、京阪が動かしているのは「列車の本数」だけではないことがよく分かります。1編成の両数(短編成化)、優等列車が走る区間と役割(快速急行・準急の再配置)、着席サービスの量(プレミアムカー2両化)――この3つを組み替えているのです。「快速急行を消して→短い区間で復活」「準急を増やして→半減」という一見ちぐはぐな動きも、需要に合わせた役割の再配分と捉えると筋が通ります。
京阪のこうした路線戦略は、中之島線の今後とも無関係ではありません。沿線の将来像については【京阪】中之島線延伸は本当に実現するの?3つの条件を鉄道員が解説もあわせてどうぞ。
なぜ京阪はダイヤを組み替え続けるのか──鉄道員が読む6つの背景
ここからは、確定情報をもとにした私なりの考察です。断定ではなく「こう読める」という見立てとして読んでください。
① 昼間需要が戻り切らない
テレワークの定着で、昼間の移動需要はコロナ前ほどには戻り切っていないとみられます。昼間の短編成化や優等列車の再配分は、この需要の変化に合わせた調整と考えられます。
② 乗務員(運転士・車掌)の人材確保難
これは推測ではなく、京阪が公式に「就労人口の減少に伴い、将来、専門人材の確保が難しくなると見込まれる」と明言しています。ワンマン化はその対応策そのものと読めます。
③ 車両製造・更新コストの高騰
近年は車両の製造コストが上がっています。普通を4両編成主体へ短編成化することで、必要な車両数や将来の更新コストを抑える狙いがあるとみられます。
④ プレミアムカー2両化に見る「量より質」
通勤本数を抑えつつ、有料着席サービスで1人あたりの単価を上げる。これは「量より質」への舵切りと考えられます。鉄道員目線で付け加えると、同じ乗務員が乗る1本あたりの収益を高める、という意味合いもありそうです。
⑤ 非鉄道事業へのシフト(一般論)
これはあくまで関西私鉄に共通する一般論ですが、不動産・流通・レジャーといった非鉄道事業の比重が高まる中で、鉄道は「沿線へ人を集めるインフラ」という側面を強めているとみられます。そのぶん鉄道そのものはコスト効率が重視されやすい、と考えられます。※京阪の具体的な計画数値は確証がないため、ここは推測にとどめます。
⑥ インバウンド・観光需要との相性
京都〜大阪の観光移動と、プレミアムカーの着席サービスは好相性です。昼間の通勤需要の減少と観光需要のギャップを、着席サービスで埋めているとみられます。
今後の予測としては、ワンマン区間のさらなる拡大と、着席サービスの強化がしばらく続くとみています。京阪に限らず、関西私鉄全体がこの方向に進んでいくのではないか、と現場感覚では感じています。
ダイヤ作成の現場から見た「組み替えの難しさ」
外から見ると「本数を1本足す/減らす」は簡単そうに見えます。でも実際は、1本動かすだけで乗務員の運用・車両の運用・接続・車庫への入出庫が連鎖的に変わります。出町柳まで4両普通を延ばすなら、その編成が戻ってくる時間も、次にどの仕業に就くかも全部やり直しです。
だからこそ、1年あまりで3回も改正を重ねるのは、本来とても大きな決断です。私の見立てでは、これは混乱を避けるために段階的に新体制へ移行しているのだと考えられます。一気に変えれば現場も利用者も混乱する。だから「短編成化」「サービス拡充とワンマン化」「優等の再配分」と、テーマを分けて順番に実行しているのではないでしょうか。
ダイヤがどんな工程で作られるのか、その舞台裏は電車のダイヤはどうやって作る?鉄道員が解説でも詳しく書いています。あわせて、全国規模の動きを知りたい方は【2026年春ダイヤ改正】運転士が注目ポイントを解説!もどうぞ。
最後に、、、京阪のダイヤ改正担当者の方は、本当に大変な作業だったと思います。イチ利用者として感謝します。
よくある質問(FAQ)
Q1. 快速急行は完全になくなったのですか?
いいえ。2025年3月に消えたのは「昼間の快速急行」だけで、朝夕の快速急行は存続しています。さらに2026年8月の改正で、昼間にも「淀屋橋〜枚方市」の区間で快速急行が約2〜3本(24分間隔)復活します。
Q2. 特急の本数は減ったのですか?
減っていません。昼間の特急は2025年3月に4本→5本へ増え、2026年8月以降も毎時5本(12分間隔)を維持します。
Q3. プレミアムカーはどう変わりましたか?
2025年10月から、3000系8両編成のプレミアムカーが「6号車のみ」から「5・6号車の2両」に拡大されました。昼間時間帯・片道1時間あたりの座席提供数は約200席から280席に増えています。
Q4. ワンマン運転はどの区間ですか?
2025年10月から「淀屋橋駅・中之島駅〜萱島駅間」で実施されています。対象は4両編成の区間急行・普通で、萱島から京都方面は引き続き車掌が乗務します。京阪本線・中之島線では初のワンマン運転です。
Q5. 萱島止まりだった4両普通はどうなりますか?
2026年8月から、運転区間が「中之島・淀屋橋〜出町柳」へ拡大され、出町柳まで直通するようになります。これにより萱島での乗り換えが解消されます。
まとめ
京阪電鉄が2025年から続けている3回のダイヤ改正を、鉄道員目線で整理してきました。最後に要点を振り返ります。
- 🚃 これは「単純な減便」ではなく、短編成化+優等の役割再配分+着席サービス拡充の組み替えです
- 🚃 改正①(2025年3月):昼間の快速急行が消える一方、特急・準急は4→5本に増発、普通は4両化
- 🚃 改正②(2025年10月):プレミアムカー2両化(約200→280席)と、本線初のワンマン運転
- 🚃 改正③(2026年8月):快速急行が「淀屋橋〜枚方市」で復活、準急は半減、4両普通は出町柳まで直通
- 🚃 背景には、昼間需要の伸び悩み・人材確保難(公式明言)・車両コスト・量より質への転換などがあるとみられます
- 🚃 1年で3回の改正は、混乱を避けるための段階的な体制移行と考えられます
数字だけ見ると不安になりがちですが、中身を読むと京阪なりの一貫した戦略が見えてきます。京都〜大阪の移動を、プレミアムカーでゆったり楽しむのも一つの手ですよ。
それでは、またお会いしましょう!



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